平成29年7月7日,勤務医の残業手当について,年俸1700万円に時間外労働等の割増賃金を含むとの合意があったとされた事例で,「時間外労働等に対する割増賃金に当たる部分は明らかにされていなかった」ことから,「時間外労働及び深夜労働に対する割増賃金が支払われたということはできない」との最高裁の判決が下されました。
労働者に支払う基本給や諸手当に残業手当等の割増賃金を含めて支払う方法自体は労基法第37条等に反するものではありません。
しかし,これまでの最高裁判例でも示されていたように,「通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とを判別することができることが必要」です。今回は,1700万円という高額な年俸が支払われていた勤務医の残業手当について,上記の判別ができないことから,「時間外労働及び深夜労働に対する割増賃金を支払われたということはできない」との厳しい判断が下されました。
医療機関では,患者の様々な医療提供ニーズに応えるため,多くの医師は長時間労働やむなしの勤務環境にあります。しかし,厚生労働省は,医療機関も聖域とはせず,医師の長時間労働を是正する方針を打ち出しており,今後は,勤務医の労働条件についても労働法規の遵守が一層強く要請されます。
そのため,医療機関としては,まずは,現状の確認として,就業規則や三六協定等において勤務医に関する規定の整備が十分か確認し,あわせて,勤務医の労働時間の把握と管理がきちんとなされているか否かを確認することが必須です。労働時間の把握と管理の責任は雇用主にありますので,これらの点に不備や法令違反があれば,速やかに是正する必要があります。
そのうえで,医療機関としては,今回の最高裁判決を踏まえ,①固定残業代制の導入,あるいは②変形労働時間制の導入といった対策を講じることが考えられます。
このたび,弁護士法人御堂筋法律事務所では,医療機関に向けて,上記最高裁判例を踏まえた医師の残業手当への実務対応について,下記の要領にて無料セミナーを開催する運びとなりました。
ご多忙とは存じますが,是非,ご参加くださいますようご案内申し上げます。
あわせて,最高裁判例を踏まえた医師の残業手当への実務対応のポイントについてまとめたリーフレットを作成いたしました(Download)。ご参照いただければ幸いです。
■申込方法
参加申込書を以下よりダウンロードしていただき,必要事項をファイルに直接ご入力の上,下記,参加申込書送付先までExcelでご送付ください。申込状況を確認後,当事務所から,参加の受付につきご連絡させていただきます。なお,定員に至った場合には,大変恐縮ながら締切日を待たずにお断りする場合がございますことを,あらかじめご了承ください。
【大阪事務所】 Download(Excel) 申込締切日:平成29年8月18日(金)
■参加申込書送付先
E-mailに添付してご送信ください。
【大阪事務所】
E-mail:osakaseminar@midosujilaw.gr.jp
(件名に「最新最高裁判例を踏まえた医師の残業手当への実務対応セミナー」の件とご記載ください。)
■開催日程
【大阪事務所】
平成29年8月31日(木) 18:30~20:00
講師:高井 浩一 弁護士,今枝 史絵 弁護士,吉田 郁子 弁護士及び山崎 祥光 弁護士
(講師は変更になる場合がございます。)
■会場
【大阪事務所】
大阪市中央区南船場4丁目3番11号 大阪豊田ビル3階
弁護士法人御堂筋法律事務所 大会議室
(開催場所は参加人数によって変更になる場合がございます。)
■対象
医療機関の理事長・院長・施設長並びに事務長又は人事・総務をはじめとする関係部署のご担当の方
■人数
1施設(複数の施設を運営しておられる法人については1法人)につき2名までとさせていただきます。何卒ご了承ください。
■受講料
無料
■お問い合わせ先
【大阪事務所】
弁護士法人御堂筋法律事務所 担当:山本麻美・増田るみ
TEL:06-6251-7266 / FAX:06-6245-5520
E-mail:osakaseminar@midosujilaw.gr.jp
(件名に「最新最高裁判例を踏まえた医師の残業手当への実務対応セミナー」の件とご記載ください。)